【知らないと損している業務効率化の話】社内の全領域の課題解決のために、もっとエンジニアの力を使って欲しい

 

 

今まで色々な開発のお仕事をさせて頂く中で、疑問に思ったことがあります。

 

・たった半日で作ったものが、数百万のコスト削減につながる

・数千万円かけて作ったものが、結局使われずに埃をかぶる

 

エンジニアの方は、似たような経験をした方も多いのではないでしょうか。

 

運用に乗らないシステムは、お金をかけて作っても無駄に終わってしまうのです。

 

システムは何らかの業務の効率化、自動化を意図するものです。

それにより、属人化やミスを防いで売上アップとコストの削減を実現します。

 

現場に必要なシステムを届けて運用に乗せるためには、「今やっている業務の困りごとをダイレクトに改善すること」が必要でした。これが当たり前の話なようで難しいのです。

 

もちろん開発サイドの努力として、「全社員が満足するシステムを作り上げる」ということは絶対に必須だと思うものの、全員が満足するシステムを作るのは現実問題として難しいですし、コストもかかります。

 

なので良いシステムの完成を目指すことと同時に、システムを与えられた側の非エンジニアの努力によって、エンジニアの力を借りたり、ITリテラシーを高めることで、今できる範囲の中での改善を実現する余地も実は大きいのではないかと思うようになりました。

  

こう思った一つのきっかけとして、昔自分プログラミングを学びたての営業マンだった時に作ったシステムがその難易度は低さとは裏腹に大きな結果に繋がったという経験があります。(自分が退職して1年半以上経った今でも運用され続けています)

 

「業務フローを誰よりも理解しているシステムを使う側がITリテラシーを持つ」というのがシステムを作ることと同じくらい大切だなと思ったのです。

 

また現状は、日常業務とエンジニア側に距離が空きすぎているのではないかとも思いました。

 

大手のIT企業の業務改善の相談に乗らせて頂いた時、とても簡単な技術で年間100時間以上削減できることが初回の打ち合わせの時点で確認できました。

 

疑問に思ったので質問しました。

「御社のエンジニアは優秀なので彼らに相談すれば、お金をかけなくても解決できると思うんですが相談できるエンジニアの方とかいらっしゃらないんですか?」と。

 

しかし、大規模な組織でなかなか業務上の接点がなく会話する機会がないので頼めない、とのことでした。

 

この件をきっかけに、「日常業務をやっているビジネスサイドの人と課題解決力・自動化スキルを持つエンジニアサイドにはまだまだ構造的な距離が遠い」という問題意識を感じるようになりました。

 

よく、業務効率化について検討する時には、持っているタスクを棚卸しして、工数と生み出す成果の2軸で整理すると思います。(月次でやっている会社もあるかと思います)

 



この時に、技術的の力で解決できるという視点が薄く、赤色の部分の工数が少なくて結果が大きな打ち手を見落としてしまう、ということが起こっていると感じました。

 

(組織構造や技術理解力や業務改善意識などそれぞれの会社によって異なる要因があるとは思います。)

 

例をいくつか挙げていきます。

 

■採用

架空の中規模IT企業のエンジニア採用において、大規模なシステムをモダンな技術で構築したいとなった時。

要件を満たすエンジニアを年収600万円で雇うために、エージェントなどに100~200万円程度のコストをかけて採用活動している会社があったとします。

 

通常のレベルの採用担当の場合は、一通りの技術知識を得た後に1時面接で組織フィットを確認して社内のエンジニアに面接を渡すという形になると思います。

 

ここで仮に、採用の目標達成のために技術の力で解決にコミットするエンジニアが入った場合、採用要件に合致した人が取る行動をクリアに理解しているので

ターゲットが回遊するサイトやリアルの場所での露出方法を調整して、公開APIから上手くデータを取得することで、1本釣りするためのリストを自動作成することができます。

 

これにより採用単価を数万円~10数万円と10分の1以下に、かつカルチャーマッチした人を採用することができるのです。

(実際にやっている尊敬する知人の会社はこれで採用に大成功しています) 

■webマーケティング

 

信販売のECの会社は、CPO(Cost Per Order:注文1件の獲得単価)の最小化が大きな経営インパクトをもたらします。

そのためfacebookGoogleなど複数の広告で効果を最適化していますが、

情報を一元化できていないため管理画面を言ったり来たりして確認する必要があり、確認漏れが生じたり、対応が遅れて機会損失が発生したりしています。

 

この問題をAPIを連携して一元管理する画面を実装することにより、

・定期購入の広告のCPAを自動で集計してグラフに可視化

・異常があった時に出稿を止めるアラートをスマホにプッシュ通知を送る機能を実装

することで、CPAを通常より低く抑えることができます。

 

また、商品idを振ったメールを自動で顧客に配信することで、キャンセルを減らしたり顧客満足度を高めることも実現します。

 

■営業

 

メルマガ送信の自動化で顧客ニーズに合ったコンテンツを配信することでリードを育てている企業でも、webセミナーで集めたリストとリアルのイベントで集めたリストとwebからの問い合わせのリストが統合されていない等の問題から機会損失を生んでいるケースがよくあります。

 

PHPPythonでコードを書き、複数のcsvファイルをメールアドレスで自動で名寄せしてidを統合する処理を定期実行にかけることで、複数のリストを自動で統合することで

リストの最大限に活用できます。

 

■カスタマーサポート

 

とある架空の会社では、カスタマーサポートの研修などは整備されており、お客様からの問い合わせの対応は確実にできる体制が整っています。

一方で、そもそも問い合わせ数をどう減らすか、また、今まで拾えていなかった問い合わせをいかに拾うのかという点はなかなか意識が向けられていませんでした。

 

既存の対応結果のログの集計・可視化できる基盤を整えた上で、問い合わせページの入力に合わせて、同様事例の過去対応結果を自動表示させたり、つまづきが発生するであろうタイミングで必要な記事が参照できるようにJavaScriptjQueryを用いてウィンドウを表示させることで、対応工数を減らしながら満足度を最大化することができます。

 

■人事労務

 

労務の仕事の中には、定期的にごとに社員の状態をアンケートで把握することを実施していますが、営業メンバーや開発メンバーが締め切り後になっても提出してくれない、ということが起こります。

 

そこで、アンケート未回答者には回答するまでその部署の上長と本人に一定間隔でリマインドを送る処理を自動送信することで、回答率を工数ゼロで高めることができます。

 

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一般的に何かのシステムを作るときには、フロントエンド(画面の見た目),

サーバーサイド、(裏側のデータの保存)、インフラ(システムの持つ土地)の3つを整える必要がありますが、

上記の仕組みは、何かのアプリケーションをゼロから作る訳ではなく、しかも実現するための工数がかかるのは最初だけなので、一度実現してしまえば、そのためにわざわざ人を雇用する必要はありません。

 

明らかにメリットがあるのに「簡単に解決できることを知らない」というだけで放置されているのです。

 

(おそらく数万円から数十万円で実現できます。)

ただそれに気づかないと、数年間のスパンで見た時に大きな損失に繋がります。成功している企業ほど、実はこういった見落としによる無駄が沢山あります。

 

今、世の中にはまだまだ解決できる課題が沢山あります。

ツールも沢山あります。

 

もしあなたの会社にエンジニアがいるなら、彼らに一度この仕事は自動化できないか、相談するのが良いと思います。

 

「これは有料のシステム使わなくても、このAPIとこのツールを組み合わせれば、1週間あれば出来るね。」と 返ってくるかも知れません。(実際にそのために工数が使えるかはまた別ですが)

 

それをエンジニア無しでも自分で判断できるようになれれば、非常に大きな価値が生まれると思います。

自分ですべてシステムが作れなくても、Aという課題を解決した時に、どれくらいの人件費削減効果があるのか?を議論のテーブルに乗せることができるようなるのです。

 

これを自分は、「業務課題をテクノロジーで解決できる形に翻訳する」と呼んでいます。

 

素晴らしいツールを作ることと同じくらい、既に実現できるソリューションと今の課題を捉え直すことが必要なのではないかと思っています。

 

 

既に社内でエンジニアがいる場合、お金をかけずに出来ておすすめなのが、

自動して欲しい業務内容と工数、頻度をアンケートフォームに記入する「目安箱」を用意することだと思います。

それをエンジニアのリソースの10~20%を使って解決します。

 

これはコスト削減効果だけでなく、組織的な側面でのメリットもあります。

そうすることで、部門間の風通しがよくなり社内でのエンジニアの理解/リスペクトが高まります。

 

社員が業務に対して「この技術を使ったらこれも改善できるのでは?」と思うようになるのです。

 

 

まとめると、

 

・システムが運用に乗るためにはエンジニアでない人もある程度IT理解を持つべき

・エンジニアだからこそ発見・解決できる業務課題も多くある

・なので両者の歩み寄りが必要

・社内にエンジニアがいるなら一部のリソースを使って自動して欲しい業務内容と工数、頻度をアンケートフォームで募ることで全社にテクノロジーをベースに業務改善する意識が生まれる

 

というのが結論です。

 

読んで頂きありがとうございました。

 

もし業務の課題解決の視点の幅を広げる、ITリテラシーを高めるために何から初めればいいのか?と疑問の方はプログラミングがおすすめです。

 

手前味噌ですが、自分が公開したこちらの無料講座でぜひ自動化を学んでいただきたいです。

 

www.udemy.com

 

 

 

また、もし自動化したい業務がある場合、ご気軽にご相談下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

社内サポートデスク(カスタマーサクセス)の業務効率化

日常業務の効率化できる場所という所で、

今回は「社内サポートデスク」について検討して行きたいと思います。

 

前提としては、社内で1日3~5件の作業依頼を受けるバナー制作のデザインや、

エンジニアへの画面の修正などの業務を請け負う社内窓口があり、そこに

依頼をするというシーンを想定して下さい。

 

ワークフローを整理します。

 

1依頼者が起票する

2作業者がタスクリストに登録する

3内容の確認

4作業

5作業者が完了報告&チェック依頼

6依頼者はチェックして修正があればフィードバック

7完了

 

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業務効率化ワークフロー

 

業務効率化のポイントは以下の3点です。

・依頼ルールの明確化と補足情報が漏れない仕組みづくり

・マニュアルの整備

・ログが自動的に残る仕組みの構築

 

この3点が構築できれば、特に優秀な人を採用しなくても、

人件費を抑えて安定した運用ができます。

 

順番に見ていきましょう。

 

まず一点目の

「依頼ルールの明確化と補足情報が漏れない仕組みづくり」

についてですが、

 

よくあるのが、

・起票された依頼の納期や要件などが不明確で手戻りが発生する

・今月何件依頼があったのかの記録が蓄積されない

・結果、トータルどの程度の工数がかかるのか見積もることができない

 

これを防ぐための仕組みとして、

「必要事項を入力しないと依頼できない」

「自動でログが残り、いつ誰がどんな依頼を何件依頼したか」

を確認することができるという仕組みを作ることです。

 

具体的には、

Slackのスラッシュコマンドや、Google Formなどの仕組みを構築するのがおすすめです。

 

項目としては、

-依頼者

-依頼カテゴリ

-依頼内容

-依頼目的

-納期

などですね。

 

またどのツール使うにしても、Google Apps Scriptを使って、フォームに入力したものを自動でタスクリストに登録し、期限が来た時にリマインドも自動で行うといったことができるようになります。

 

Trelloに自動登録する方法についてはこちらに記事を書いたのでぜひ御覧ください。

https://qiita.com/yoshoo/items/9891d4836a7805df7dc5

 

次に2点目の

「マニュアルの整備」

についてですが、こちらも非常に重要なところになります。

 

こちらを整備することで、採用要件を下げることが出来たり、すぐに戦力化することによる離職を防いだりすることができます。

 

またマニュアルに漏れがある場合は、「作業者が新たにマニュアルを書いても良い」というルールを策定し、書いてくれた作業者を評価する仕組みを作るのが良いです。

 

作業の進め方だけでなく、システムの利用方法や、

記事ベースだけでなく、動画情報もあると良いかと思います。

 

ドキュメントは社内でオープンに共有出来るようにしておくと、資産として蓄積されます。また副次的な効果として、社内でマニュアルを書いた人に問い合わせたり等の社内コミュニケーションの活性化という側面があります。

 

 

最後に3点目の

「ログが自動的に残る仕組みの構築」

についてですが、

 

1新人の即戦力化

2業務の振り返り

の2点で効果的です。

 

(上場企業ではここに監査が絡むこともあるので出来ているところは多いとは思います)

 

例えば新規依頼が来た際に、過去の依頼内容と完成形のフィードバックのやりとりを全て追うことができれば、上長への質問を減らすことができ、研修や採用の時の題材にすることが出来るのです。

 

更におすすめなのは、マニュアルを蓄積した後は、新規の投稿内容が起票された時点で、関連するマニュアルが作業者に自動でおすすめされる仕組みを作ることです。

 

こちらはGoogle Apps Scriptで少し高度になりますが、こうすることで更に作業者の負担を削減することができます。

 

短期的にメリットを感じづらいですが、積み上げれば確実にインパクトが出るでしょう。

 

また、依頼内容のログが残っていることで、誰の依頼が緊急で多いのか、それはなぜなのか、改善の方針を立てることができるようになります。

 

またトラブルがあった時に、上長がやり取りのログを見て今後の対応の判断ができるようになります。

 

メールにしてしまうと、新入社員の人がログが追えなくなってしまうのであまりおすすめはしません。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

何か改善したい業務がある時は、

①フローの言語化し、②タスクへ分解し、③それぞれのタスクで課題となるものを抽出し、④その解決策となる打ち手を考案する

 

ということを繰り返すことで、ミスなく安定的に短時間で回す作業フローを構築することができます。

 

 

業務フローの改善に興味のある方はぜひこちらまでお問い合わせ下さい。

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